サッカー用語講座
アルビ大塚監督監修 「星日報」サッカー用語講座   2005年2月〜掲載
vol.1
vol.2-1
vol.2-2
vol.3
vol.4
vol.5
vol.6
vol.7
vol.8-1
vol.8-2
vol.9
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 オフサイド、ゾーンプレス、ボランチなどなど、サッカーで用いられる言葉にはわかるようでわからないものが数多い。そんなサッカー用語を解説していくのがこのコーナー。サッカーにまつわる知識を増やし、もっと楽しくアルビ観戦に臨めるようにしよう。

vol.1 予備知識:サッカーの基本ルール

2005.2.17掲載

フィールド

写真
1.選手と審判
 試合を行う選手は1チーム11名。退場等で1チーム7名未満となると、試合は中止となってしまう。
 選手にはそれぞれのポジションがある。
フォワード(FW):主に攻撃を行う。
ミッドフィールダー(MF):攻撃と守備をサポートする。
ディフェンダー(DF):主に守備を担当する。
ゴールキーパー(GK):ペナルティエリア内で手を使ってゴールを守る特権を持ち、他の選手と区別するため色の異なるユニフォームを着る。ただ、味方が蹴ってGKにパスしたボールは、たとえペナルティエリアの中でも足で扱わなければならない。
 交代要員は3〜7名(Sリーグでは7名)で、試合前に決められた人数(Sリーグでは3名)だけ交代できる。交代によりフィールドの外に出た選手はその試合に再び出場することはできない。
 審判は主審1名、副審2名、第4審判1名の合計4名で行う。
2.試合時間と勝敗
 試合時間は90分(ハーフタイムを挟んで前半45分・後半45分)。これ以外にロスタイムとして、試合中に怪我やファール等でプレーが一時的に中断したりした場合の調整時間を審判の指示で足す。試合終了までにより多くの得点をしたチームが勝利、同点の場合は引き分けとなる。
3.イエローカードとレッドカード
 反則には、オフサイド、相手を蹴る、相手につばを吐きかける、危険な方法でプレーするなどといったものがある。ピッチ内で反則が起きたとき、反則を受けたチームに対し反則が起こった地点からのフリーキックが与えられる。
 悪質な反則を犯した、あるいはスポーツマンシップに反する行為をしたと主審が判断した場合、その選手にはイエローカードあるいはレッドカードが提示される。同一試合でイエローカード2枚またはレッドカード1枚を受けると退場となってしまい、さらに次の数試合に出場できなくなる。
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vol.2 part1【3バックと4バックback three/back four】 part1

2005.3.10掲載

 ジーコ監督率いる日本代表が試合をするとき、サッカー通の間では「今回は3バック(スリー・バック)か、あるいは4バック(フォー・バック)か」がいつも話題になる。では、3バックと4バック、この違いはなんだろうか。   
  簡単に言えば、3バックとはディフェンダー(DF)を3人配置するシステム(陣形)、4バックとはDFを4人配置するシステムである。ちなみに、ディフェンダーは以前バック(Back=BK)と呼ばれていて、それがシステムの名称に残っているのである。ちなみにイングランドではバック・スリー、バック・フォーと呼ばれている。  
  まず基本をおさらいしておこう。サッカーは1チーム11人で行うスポーツで、選手はそれぞれポジションがある。ゴールキーパー(GK)以外の10人の選手はフィールドプレーヤーと呼ばれ、フォワード(FW)、ミッドフィルダー(MF)、DFの3つに区分されているのが一般的だ。FWは攻撃中心、DFは守備中心、そしてMFは守備と攻撃の両方、単純化するとこんな役割を持っている。そして、フィールドプレーヤーをどう配置するかによって、そのチームのシステムが変わる。
(写真:4バックを採用し、相手の攻撃を防ぐ今年のアルビ)
  続きは次号。お楽しみに。

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vol.2 part2【3バックと4バックback three/back four】 part2

2005.3.14掲載

 前回のおさらい。
3バック・・・ディフェンダー(DF)を3人配置するシステム(陣形)。
4バック・・・ディフェンダーを4人は位置するシステム。
*英語ではそれぞれバック・スリー、バック・フォーという。
  DFの人数が多いから3バックより4バックのほうが守備的なシステムかというと、実はそうでもなかったりする。というのは、守備というのはDFだけがやるのではなく、MFやFWと連携しながらやっていくからだ。4バックの場合、原則的には4人のDFで相手攻撃陣のカバーをするが、3バックの場合、状況によっては両サイドにいるMFが後退してカバーすることになるので、時として「5バック」になる。
 どのシステムを採用するかは監督次第、そしてその国の伝統次第である。デビッド・ベッカムが主将を務めるイングランド代表は、伝統的に4バックを用いることが多い。ワールドカップ大会で見れば、1990年のイタリア大会ではスイーパーを置いた3バック、1996年はバックと4バックの併用、1998年は3バック、2000年、2002年は4バックだった。また、次のワールドカップの開催国であるドイツは、3バックを採用することが多い。日本代表で言えば、フィリップ・トルシエ前監督は3バック専門だった。ジーコ監督は就任当初4バックを採用していたが、最近は3バックを採用することが多い。3バックト4バック、どちらが優れているというのは一概には言えない。ちなみに、「4−4−2」とか「3−5−2」とかいうのはシステム全体を指し、「4−4−2」ならDF4人・MF4人・FW2人というシステム、「3−5−2」ならDF3人・MF5人・FW2人というシステムになる。
 アルビの場合、2004年は3バックを採用していた。2005年は4バックを採用し、シーズンに臨む。FW陣の派手なゴールシーンにばかり目を奪われがちだが、去年と違うシステムで守るDF陣の奮闘もじっくり見てみたい。

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vol.3 フリーキック free kick

2005.3.28掲載


 相手チームの選手からスライディングタックルを受け、うずくまるアルビの選手。審判は笛を吹いて駆け寄り、一段落したあとでアルビの選手が相手の妨害を受けずにボールを蹴り試合が再開する。サッカーの試合を観戦すれば、こんなシーンに必ず出くわす。このように、反則を受けた側が得られる妨害なしのこのキックをフリーキック(FK)と呼ぶ。  
  ところで、フリーキックには間接フリーキックと直接フリーキックの2種類があるとご存じだろうか。これは反則の種類によって主審が決める。蹴られる倒されるなどのボディーコンタクトを伴う反則があれば直接フリーキックが、オフサイドやハイキック(足を高くあげてプレーする)など、ボディーコンタクトのない反則があれは間接フリーキックが与えられる。
  直接フリーキックはキッカーが直接ゴールを狙って得点できるが、間接フリーキックは一度キッカー以外のプレーヤーに触れてからでないと、ゴールに入っても得点にならず、ない。ちなみに、間接フリーキックがそのままゴールに入った場合、ゴールキックでプレー再開となる。相手ゴール前でフリーキックを得た攻撃側の選手がボールを軽く蹴り、これを別の選手がシュートすることがよくある。これは間接フリーキックだからである。もちろん、直接フリーキックだからといって直接ゴールを狙わなければいけない、ということはなく、状況に応じて味方にパスを出すことも多い。
   日本でテレビのサッカー中継を見ているときなら、アナウンサーや解説者が直接フリーキックか間接フリーキックかを説明してくれる。しかし、場内放送がないSリーグの試合をスタジアムで観戦しているとき、観客はどうやって間接フリーキックか直接フリーキックかを判断するのか? フリーキックを行うときの審判の動きに注目してほしい。間接フリーキックの時は主審が手を上げていて、キッカーがボールに触れた時点で手を下ろす。直接フリーキックの時は、反則を受けた側の攻撃方向を手で指し示している。  
  ペナルティキック(PK)は直接フリーキックの1つで、守備側が直接FKとなる反則をペナルティーエリア(ゴール前の二重の四角の大きいほう)内で犯した場合に攻撃側に与えられる。キッカーが蹴る前には、ペナルティーエリアの中にキッカーと相手ゴールキーパー(GK)以外は守備側、攻撃側の選手とも入ることができない。PKが圧倒的にキッカー側に有利であることは間違いないが、PKの成功確率は思っているほど高くなく、およそ8割くらいだと言われている。昨年ポルトガルで開催されたユーロ(ヨーロッパ選手権)2004では、全部で8本のPKが与えられ、そのうち1本が失敗しているので、ユーロ2004でのPK成功確率は87・5%ということになる。  
  フリーキックは間があって、蹴るまでの瞬間、蹴った後の瞬間を皆が注視する。キッカーにとっては最大の見せ場である。昨年アルビのキッカーをつとめた尾崎はフリーキックの名手だ。今年はフリーキックから何本のゴールが決まるか注意して見てみたい。
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vol.4 ジーコ Zicco (サッカー選手の登録名)

2005.4.7掲載

ジーコ

ロナウド
 ジーコとは、本国ブラジルでは「白いペレ」と呼ばれる言わずと知れたサッカー界の巨人、かつ日本では「神様」と呼ばれる現在の日本代表監督の名前である。ブラジルとイタリア、そして日本でプレーし、世界各国のサッカー小僧のアイドルであった。今をときめくロナウド(ブラジル)や、今やファンタジスタの代名詞となった感のあるロベルト・バッジョ(イタリア)をして「いつかジーコのようになりたかった」と言わしめた、それはそれは凄い選手だったのである。  
  ところで、ジーコとはニックネームであり、本名はアルツール・アンツーネス・コインブラという。子どもの頃のニックネームは最初に「アルツゥールズイニョ」で、これが「アルツゥールズィッコ」となり、やがて親しみを込めて「ズィッコ(ジーコ)」と呼ばれるようになったらしい。子どもの頃のあだ名をそのまま登録名として使っているとは恐るべし、というところだが、実はブラジルにはこういう選手が多く、またあだ名を用いない場合、名字でなく名前を登録名にするのが普通だ。  
  次世代のブラジル代表を担うと見られているカカ(Kaka)は、リカルド・イゼクソン・ドス・サントス・レイチというのが本名である。リカルドと発音できなかった弟が「カカ」と呼んだのがきっかけらしい。ちなみに現在、イタリアのACミランでプレーしているカカだが、イタリア語で「カッカ(Caca)」という単語があまり美しくない意味を持つため、イタリアに来た当初はかなり馬鹿にされたという。  
  また、同じ名前で年長の選手がチームにいたおかげで登録名を変える場合もある。有名なところでは、スペインのFCバルセロナに所属するロナウジーニョの本名は、ロナウド・ジ・アシス・モレイラであり、普通ならロナウドになるはずだが、何しろ現在のブラジル代表には「怪物」ロナウドがいるため、ロナウジーニョ(小さなロナウド)という登録名を使うことになった。ちなみにロナウド自身も、1994年のワールドカップに出場したときはロナウジーニョの登録名だった。  
  ヨーロッパの選手はどうしているかというと、ブラジルと同じくポルトガル語を公用語とするポルトガルでは、フィーゴ(本名ルイス・フェリペ・マデイラ・カエイロ)のようにニックネームを登録名にしている選手がいるが、これ以外の国ではほとんどがその名字を使っている。また、短縮形を登録名にしている選手がたまにいるくらいだ。日本でミスタードーナツのCMに出演しているグディ(スペイン、本名ホセ・マリア・グティエレス・エルナンデス)などが代表例だ。  また、元オランダ代表で、現在は小野伸二の所属するフェイエノールトの監督を務めるルート・フリット(Ruud Gullit)は、日本では「フリット」の表記が定着していたが、フリットだと揚げ物(flit)になってしまうと嫌がり、日本向けのインタビューで「おれはフリットではない」と主張したことがある。  
  ただ、有名選手の中でラウール(スペイン)だけは、何故か名字のゴンザレスではなく、名前のラウールを登録名に使っている。ゴンザレスという名字が格好悪いのか、あるいは何か別の意味を持っているのかといろいろ勘ぐりたくなるところである。
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vol.5 パスとその種類/Pass

2005.4.28掲載

ピッチ内でプレーする選手がボールを持った場合、その選手には3つの選択肢がある。1つはシュート(相手ゴールを目掛けてボールを蹴ること)、もう一つがドリブル(もしくはラン・ウィズ・ザ・ボール。両方とも、ボールを蹴りながら移動すること)、そして最後の1つがパスである。パスとは、足や頭など、体の手以外の部分を使い、味方にボールを渡そうとする行為である。  
大きく分けると、パスには足下へのパスとスペースへのパスがある。


  足下へのパス、すなわち味方が今いる場所に出すパスは、パスを出す選手が正確なパスを出すことができれば、味方は確実にもらうことができる。ディフェンダーがボールを回すときなど、あまり緊迫していない状況では足下へのパスが用いられることが多い。  
  これに対しスペースへのパスは、味方の走るスピードと走る方向を考え、ちょうど良い位置でボールを受けられるよう、パスの方向とボールのスピードを判断しなければならない。つまり、パスを出す選手にはキックの正確性とセンスが要求されるのだ。その分、スペースへのパスがうまくつながれば、大きなチャンスを作り出す可能性が高い。  
テレビのサッカー中継でよく耳にする単語にスルーパス(英語ではthrough ball)というものがある。スルーパスはスペースへのパスの一種で、相手ディフェンダーの間を通し、ディフェンスラインの後方(裏)へ通り抜ける味方へ渡そうとするパスのことを指す。スルーパスが通れば、パスをもらった味方は相手ゴールキーパーと1対1になるので、決定的なチャンスとなる可能性が高い。ただ実際は、ディフェンス側はスルーパスを通されないようにいろいろな工夫(味方との間隔を狭める、パスの受け手をしっかりマークするなど)をしているので、スルーパスを決めるのはなかなか難しい。
 中田英寿の代名詞のように使われるキラーパスは、相手ゴール付近で相手ディフェンダーの裏へ通す、味方がこのパスを受け取ればワンタッチするだけでゴールになるようなスルーパスのことを指す。キラーパスもやはりスペースへのパスの一種である。ゴールに直結することが多いが、パスの受け手である味方も反応するのが難しいという欠点があるので、キラーパスを出す選手には、まず何よりも味方の選手を生かすセンスが求められる。  
  また、足下へのパスとスペースへのパスを効果的に組み合わせたものにワンツー(壁パス、ポストプレートもいう)がある。ワンツーの手順は、まずパスを出す選手がパスを出すとすぐに前方に走り、そしてパスを受けた選手は素早くパスを返すというものだ。ワンツーは相手ディフェンダーをかわすための基本的かつ効果的なプレーだが、味方同士の意思疎通がうまくできていないと成功しにくい。  
  このようなパスを有効に使い、味方がゴールを決めるための最終パスや、相手守備陣を崩す絶妙なパスを出すのが得意な選手をパッサーと呼ぶ。ポルトガル代表の10番を長らく背負っていたルイ・コスタ(ACミラン)や、愛くるしい笑顔で敵にとっては悪魔のようなパスを出すアルゼンチン代表のパブロ・アイマール(バレンシア)などが現代の代表的なパッサーと言えよう。  
  「過去でも、現在でもない。未来のためにパスを出すのだ」と、アーセナルのベンゲル監督は言ったという。未来を切り開くパスが、今年のアルビの試合でどれだけ見られるのだろうか。
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vol.6. Fantasista (ファンタジスタ)

2005.5.16掲載

[イタリア語・名詞][複男:-i] 多才な芸人、
(サッカーの)ファンタジスタ  

 イタリアのセリエA・レッジーナでプレーする中村俊輔が、元イタリア代表のロベルト・バッジョの所属したブレシャと対戦するたびに、「日伊ファンタジスタ対決!」といった言葉が新聞各紙の紙面に踊った。ここで言うファンタジスタという言葉が指しているのは中村とバッジョの二人であるが、さて一体ファンタジスタとは何なのだろう?  ファンタジスタとはイタリア語で「多彩な芸人」という意味の単語であり、サッカーで用いられるときは、誰も思いつかないような創造力あふれる素晴らしいプレーを見せる、天才肌のプレーヤーに捧げられる呼称となる。  
  ドリブル、パス、シュートなど、サッカーのあらゆる面において卓越した技術とセンスを持つことがファンタジスタ必須条件となるので、フォワードか攻撃的ミッドフィルダー(トップ下や司令塔などとも呼ばれる)の選手がファンタジスタと呼ばれることが多い。  
  代表的なファンタジスタとしては、ミシェル・プラティニ(フランス)、ルート・フリット(オランダ)、ロベルト・マンチーニ(イタリア)、ロベルト・バッジョ(イタリア)などがいる。現役プレーヤーではロナウジーニョ(ブラジル)など。イタリア人、あるいはイタリアでプレーした選手が多いのは、ファンタジスタという言葉がイタリア語だということを考えれば当然なのかもしれない。ファンタジスタに相当するものとして、イングランドではスキッパー(船の舵取り役という意味)という単語を使う。最近のイングランドで代表的なスキッパーといえば、「ガッザ」という愛称をもつポール・ガスコインだろう。  
  ファンタジスタと呼ばれる選手は、サッカーで最も権威のある2つの賞、すなわち「バロンドール」(1956年創設。ヨーロッパ52カ国のサッカージャーナリストの投票で受賞者が決定する欧州年間最優秀選手賞)と、「国際サッカー連盟(FIFA)最優秀選手賞」(1991年創設。FIFA加盟各国の代表監督による投票で決定される賞)のどちらかあるいは両方を受賞するクラスの選手である場合が多い。ただ、この受賞者がすなわちファンタジスタかというとそんなことはなく、例えばパベル・ネドベド(チェコ、2003年のバロンドール受賞者)をファンタジスタと呼ぶ人は少ない。卓越した技術以上に、ファンを魅了する美しいプレーが必要なのである。
   結局、ファンタジスタという呼称はサッカーファンが自然発生的に用いるものであり、国や人によって様々な解釈がある。だから、「私のファンタジスタ」を見つけるのがサッカーファンの楽しみの1つとも言える。

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vol.7 スペース(Space)

2005.6.9掲載

 サッカー関係の文章で「スペースを上手く使え」とか、「スペースを作る(スペースメイキング)」とかいう表現がよく出てくる。スペースとは英語のspace、すなわち空間を意味する単語だが、サッカーの世界では何を指してスペースというのだろうか。

 スペースとは敵味方の選手がいない、空いている場所のことを指す。攻撃の時はこのスペースを有効に使うことが重要になる。例えば、味方の選手が今いるところにパスを出した場合、パスの受け手はボールが来るまでの間、その場でじっとしていなければならず、相手選手が近づいてきてプレッシャーをかけられる可能性が高い。だがスペースにパスを出した場合、ボールが移動する間に選手も移動することができる。もちろん味方も相手ボールを追えるが、味方の方が行動を予測できる分有利なのである。  
  スペースを作る(スペースメイキング)というのは、ボールを持っていない選手が動くことによってスペースを生み出すことをいう。上の図を見てほしい(図中のAがボールを持っている選手、B・C・DはAの味方、X・Y・Zは相手の選手)。  
  図1では、B・C・DがそれぞれX・Y・Zにマークされているため、Aはパスを出すところがない。だが、図2のようにCが矢印の方向に動くことによって、CをマークしているYも同じ方向に動き、CとYが元いた場所にスペース(■)が生まれる。そこへDが走り込むことでボールをもらうことができる。このBのような動きを「スペースを作る動き」と呼び、これをより複雑にした動きがサッカーの試合のなかでは行われている。  
  「スペースを作る」という意味で、日本語では「スペースメイキング」という言葉を使うことが多いが、イングランドでは、「create a space」(スペースを作る)、「Exploit a space」(スペースを利用する)といった表現を良く使う。  
  攻めている場合は、相手陣内のスペースに対してドリブルやパスを仕掛けると有利になり、守備をするときは自陣内のスペースを相手に使わせないようにする。つまり、サッカーとはスペースのつぶし合いで、スペースをうまく使えるチームが強いチームだと言える。
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vol.8 マンマークとゾーンディフェンス man-to-man marking & zone marking

2005.7.4掲載

 サッカーは非常に点の入りにくいスポーツである。前後半で合計90分を戦っても0対0のままということも多い。自分が応援しているチームがなかなか得点できず、イライラが募ってきた最後の最後でゴールを決めて勝利するというなんていうのは、観戦者としては最高の快感であったりする。  
  ところで、サッカーで点が入りにくいのは、1つには守備の方法論が確立されているからである。

加茂さん

 サッカーで守備の仕方は、大雑把に言うとマンマーク(マンツーマン)とゾーンディフェンスの2つに分けられる。  マンマークというのは、1人の選手が相手1人をぴったりマークする守備方法のこと。自分のマークしている選手にひたすらついて行くことになる。方法としてはシンプルで、昔はマンマークによるディフェンスが主流だった。マークする相手を見続けるために選手としても対応しやすいが、相手の動きにひたすらついて行くので非常に体力を消耗するという欠点がある。  
  この欠点を鑑みて考え出されたのがゾーンディフェンスである。これはそれぞれのディフェンダーが守る範囲(ゾーン)をあらかじめ決めておく方法で、ボールと味方の位置関係による相対的なゾーンに入ってきた敵をマークすることになる。守備の方法としては省力的かつ効果的だが、ボールと味方の位置をきちんと把握し、その上でいろいろな角度から自分のゾーンに入ってくる相手に対応すること、さらには次の展開までも予測することが求められる。マンマークの場合はまず相手を見ることになるが、ゾーンディフェンスの場合はまずボールを見ることになる。    (次号に続く)

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vol.8 マンマークとゾーンディフェンス man-to-man marking & zone marking part2

2005.7.7掲載

前回のおさらい
マンマーク…1人の選手が相手1人をぴったりマークする守備方法。対応しやすいが、相手の動きにひたすらついて行くので非常に体力を消耗するという欠点がある。 ゾーンディフェンス…それぞれのディフェンダーが守る範囲(ゾーン)をあらかじめ決めておき、ボールと味方の位置関係による相対的なゾーンに入ってきた敵をマークする守備方法。  

 ゾーンディフェンスの問題点は、ボールを持つ相手のプレーに注意が引きつけられ過ぎてしまった場合、その周りのボールのないところでの相手のマークがずれ、相手をフリーにしてしまう場合があることだ。これを防ぐには、より広い視野と正確な判断力、そして絶え間ない集中力が必要になってくる。  
  マンマークとゾーンディフェンスという用語は、日本ではどこでも通用する。ただ、これを英語で言うとなると、それぞれマンツーマンマーキング、ゾーンマーキングと呼ぶのが普通だ。
   世界的に見れば、マンマークとゾーンディフェンスをミックスしているチームはあるにせよ、現在でも純粋なマンマークを採用しているチームはほとんどない。選手の運動量が増加し、また技術の向上によってパス精度が増したので、マンマークではついていけなくなったからだ。  
  ただ単に体力や技術を磨くだけでなく、頭脳を使ったプレーが要求されるのが現代サッカーなのである。

 

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vol.9 イエローカードとレッドカード Yellow Card/Red Card

2005.7.21掲載

 イエローカードは警告の印、レッドカードは退場の印、イエローカード2枚でレッドカードとなり退場となる。サッカーの普及で「飲酒運転にレッドカード」などの標語に用いられるようになり、日本人の日常生活の中にも根づいてきた感がある。そのイエローカードとレットカードがサッカーで用いられるようになったのは、1968年のメキシコ・オリンピックからである。
 イエローカードとレッドカードを考案したのは、1966年のワールドカップ・イングランド大会で審判委員長を務めたケン・アストンという審判だ。  この準々決勝で、主審に退場を宣告された選手がこの指示を拒否し、ピッチに居座り続けたため、試合は中断した。主審はドイツ人、退場を宣告された選手はアルゼンチン人(アルゼンチンの公用語はスペイン語)で、言葉が通じず審判が選手を説得できなかったのだ。この経験を通じ、国際試合における言葉の壁を感じたアストンは、「言葉が通じなくても、審判の意図を選手に明確に伝える方法はないか」と考え、信号機をヒントに、黄色と赤のカードを使って審判の意図を示す事を思いついた。  その後、アストンはこのイエロー・カードとレッド・カードのルールを国際サッカー連盟(FIFA)に提案した。FIFAは1968年のメキシコ・オリンピックからこのルールを導入した。最初は多少の混乱があったが、理解が進むにつれ普及していった。ちなみに当初、イエローカードを提示された選手は一時退場とされたが、のちに警告(イエローカード2枚で退場)と改められ、現在に至っている
。  一般に、相手選手に後方からタックルをした場合、審判や相手選手に暴力をふるったり暴言をはいた場合などにレッドカードが出される。また、審判の判定に不満を言ったり、反則を繰り返したりした場合にはイエローカードが出される。ただ、レッドカードを提示するか、イエローカードを提示するか、あるいは口頭の注意だけで済ますかは主審の裁量に任されていて、ゲームバランスを重視し、本来はレッドカードのところをイエローカードにするという判断を主審が下すこともある。
 また審判は、控え選手や監督・コーチにカードを提示することもできる。2002年の日韓ワールドカップの1次リーグ予選アルゼンチン対スウェーデン戦で、控えのメンバーとしてベンチに座っていたアルゼンチン代表のFWカニージャが、審判に「この糞野郎!!!」と暴言を吐いたとしてレッドカードを出され、出場時間ゼロで退場処分を食らうという怪記録を作った。
 また、試合中でなくとも、試合前や試合後にカードを出されることもある。ユーロ2004に出場したイタリア代表のフランチェスコ・トッティは、デンマーク戦で執拗にマークする相手DFの顔につばを吐きかけた。試合中には何の処分も受けなかったが、デンマークの抗議を受けてこの問題を検討した規律委員会は試合後、トッティにレッドカードを出すと決定した。これにより、トッティは3試合の出場停止処分となったうえ、「ラマ」(南米の高原地帯に生息するラクダ科の動物で、よだれをよく垂らす)というありがたくないあだ名を付けられてしまった。

写真1
写真2
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